荷重計の役割とは?
プレス加工は、金型を通じて材料に必要な荷重をかけて成形します。荷重が適切に伝わらないと、不良品が出たり、金型を損傷したりする原因にもなります。今回は、プレス機械に付属されることの多い荷重計について解説します。荷重計はプレス作業時の成形荷重値を表示することが主目的ですが、その他に材料や金型、プレスの異常を知らせてくれる装置でもあります。
成形総荷重値(ピーク荷重)を表示することはもちろん重要ですが、荷重値の変化を知らせることにより、材料のばらつき(板厚、硬度)や金型・プレスの異常(損傷)等を発見でき、不良成形品の早期発見にも繋がります。
プレスにより表示荷重値が異なる?
同じ金型で成形してもプレスが変わると荷重計の表示値が異なる場合があります。
その主な理由は、
① プレスフレーム形状や荷重検出用ひずみゲージ貼付場所の違い。(荷重伝達経路の違い)
② プレスフレームの伸び剛性やスライド・ベッドのたわみ剛性の違い。
(剛性が違うと、同じ金型・同じダイハイトで成形した場合、成形荷重値に差が出てきます)
③ 荷重の検出媒体がひずみゲージか、油圧変動による違い。
(油圧検出式は過負荷安全装置内の油圧変動を直接検出するので、フレーム表面の変位を計測するひずみゲージ式よりも測定精度が高くなります)
荷重計のインターロック機能
インターロックとは、、、決められた複数の条件がすべて揃わないと機能が有効にならないよう制御する方式のこと
弊社の荷重計(グラフィックロードアナライザー:ALAタイプ)は、検出した荷重値に
対して次のインターロックを備えています。
① 測定荷重値がプレスの行程圧力曲線(トルク能力)を超えるとプレス連続運転を止める。
② ポイントに掛かる荷重値がポイント能力を超えるとプレス連続運転を止める。
③ 左右のポイントに掛かる荷重差が設定値を超えるとプレス連続運転を止める。
(偏心荷重によるスライドの傾きを制限し、プレスや金型を保護することが可能です)
④ 特定の荷重推移に対してばらつき範囲を設定し、それを超えるとプレス運転を止める。
こうして自動でプレスを止めることで、機械や金型を守り、不良成形品の早期発見を可能にするのです。
進化する荷重監視システム
さらに最近は、荷重計のデータを使って、より見える化を進めた荷重監視システムも登場しています。ボルスター全体の荷重推移が3Dグラフで表示され、荷重波形のくずれや、最大荷重が発生している位置を一目で確認することができ、早期の対応が可能になります。
(下記はAIDAデータアナリティクスシステムAi CAREより、2ポイント機のみ)
いかがでしたでしょうか?
ご不明な点がございましたら、ぜひアイダにご相談ください。