プレス機に係る税負担が軽減!令和5年度(2023年度)以降の税制優遇情報です。
中小企業庁では補助金の他に、さまざまな税制優遇を設けています。代表的なものとしては、設備投資した分の税額控除を行う「中小企業投資促進税制」・「中小企業経営強化税制(経営力向上計画)」、設備に係る固定資産税を軽減する「先端設備等導入計画」があります。
令和5年度になり、これら税制優遇の制度の一部が延長されたり廃止されたりしています。そこで今回は令和5年度の税制改正の内容を紹介するとともに、これらを活用することで得られるメリットについて紹介します!
目次
中小企業投資促進税制 が延長されました!
中小企業経営強化税制(経営力向上計画) が延長されました!
先端設備等導入計画の税制優遇が大幅変更されます!
補助金と併用しよう!
中小企業投資促進税制 が延長されました!
中小企業投資促進税制は中小企業の生産性向上等を支援するために設けられた税制です。適用期限が延長され、令和6年度末(2025年3月末)まで活用できるようになりました。
設備投資を行った場合、その設備投資に係る30%の特別償却、もしくは7%の税額控除が適用されます。
特別償却とは通常の減価償却とは別枠で償却ができる制度を指します。つまり、設備の取得価額の30%分について、償却費用を追加計上することが可能になります。課税ベースの利益から通常の減価償却費+特別償却費が差し引かれるため、その事業年度の法人税の負担が軽減されます。利益が大きく法人税がかかりそうな事業年度に活用すると効果を発揮します。尚、特別償却はあくまで設備投資した年度分の納税を先延ばし措置であるため、最終的な納税額は通常の減価償却のみを行った場合と変わりません。
一方、税額控除は特別償却と違い、純粋に税額が軽減されます。ただし、取得価額の7%しか軽減されません。また、税額控除は資本金3000万円以下の中小企業しか利用できません。こちらも利益が小さい事業年度だと節税効果も小さくなるため、注意が必要です。
中小企業経営強化税制(経営力向上計画) が延長されました!
中小企業経営強化税制についても適用期限が延長され、令和6年度末(2025年3月末)まで活用できるようになりました。
中小企業の経営基盤強化のための事業計画「経営力向上計画」の認定を受けた後で、その計画に基づく設備投資を行った場合、即時償却もしくは10%の税額控除(資本金3000万円超は7%)のいずれかを利用できます。
即時償却とは、通常は設備の耐用年数に応じて経費計上すべき減価償却費を初年度に全額計上できる制度です。これにより利益を低く抑えられるため、法人税の負担が軽減し、キャッシュフローを改善できます。尚、2年目以降は費用として計上できなくなるため、その分の税負担は増えます。つまり、特別償却と同じく、最終的な納税額は通常の場合と変わりません。
中小企業経営強化税制の税額控除は中小企業投資促進税制の税額控除と併用できます。 尚、各税制の税額控除の合計額は、その事業年度の法人税額の20%が限度となります。また、限度額を超過した分については、翌事業年度に繰り越せるとのことです。
中小企業経営強化税制(先端設備等導入計画) の税制優遇が大幅変更されました!
先端設備等導入計画は、中⼩企業や小規模事業者等が労働生産性向上のために設備投資をするための事業計画です。この計画が認定されると、固定資産税を大幅に削減できるため、大掛かりな設備投資を行う企業にとってはおすすめの事業計画です。
しかし、この固定資産税の特例が令和5年度から「生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に関する固定資産税の特例」と名称が変更され、要件も厳しくなります。
昨年度ま では「事業計画において労働生産性が年平均3%以上向上すること」等の条件を満たせば、固定資産税が3年間ゼロになる特例を受けることができました。
しかし今年度より、(1)「雇用者全体の給与の1.5%以上増加を従業員に表明すること」、(2)「年平均5%以上の投資利益率が見込まれる設備投資を行うこと」と言うより厳しい要件を満たす必要があります。政府の重点施策である「構造的な賃上げ」の一環としての措置となります。
固定資産税については2/3が5年間控除されるため、前回よりは税負担を減らすことができます。しかし、賃上げをする必要があるため、実質的な負担はそこまで変わらないかもしれません。また、賃上げの表明を行わない場合は固定資産税の1/2が3年間控除されるとのことです。
この特例を実施するかどうかは前回と同じく各市区町村の判断に委ねられているため、「市区町村」+「先端設備等導入計画」で検索して確認してみましょう。
補助金と併用しよう!
上記で紹介した税制と「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」等の補助金は併用できます。
たとえば、事業再構築補助金(通常枠)と中小企業投資促進税制を併用すれば、対象設備に対して最大8000万円の補助が下りるだけでなく、取得価額の7%の税額が控除されることになります。
また、ものづくり補助金では賃上げを行うと上限額の引き上げが行われますが、このタイミングで先端設備等導入計画の税制優遇も活用すれば、「それぞれ別に賃上げを行う」と言う手間が省かれます。
これら補助金も活用すれば、プレス機の購入費用の一部が税制優遇だけでなく、補助金でも補えることができます。
詳しくは最新の申請要領を確認しましょう。
さいごに
中小企業経営強化法に基づく「経営力向上計画」「先端設備等導入計画」は、いずれも原則として計画が認定された後、設備を取得します。(経営力向上計画の方は例外も認められます)「経営力向上計画」の方は、年度末までに「設備を取得(検収・引き渡し)し、使い始める(事業供用)」ことが要件であり、「先端設備等導入計画」の方は年度末までに「設備を取得(検収・引き渡し)」していればOKです。計画を提出してから認定を受けるまで、1か月程度かかるようですので、早めの申請をお薦めします。
尚、計画の申請をしない場合でも、年度末までに設備を取得していたなら、法人税の申告時に必要書類を提出すれば「中小企業投資促進税制」を活用することは可能です。
最新情報は公式サイトにて随時更新されますので、実際の申請時には必ずご確認ください。
中小企業庁HP 「経営強化法による支援」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/index.html
中小企業庁HP「先端設備等導入制度による支援」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/seisansei/index.html