偏心荷重線図について ①

プレス製品は、精密コネクターから自動車外板まで、様々な工法と多種多様な金型によって成形されます。
そのためプレス機械が受ける成形荷重もその荷重中心がプレス中心に近い場合もあれば、
そうでない場合(偏心荷重という)もあります。
 
 成形荷重中心がプレス中心とほぼ重なる場合は、総成形荷重がプレス能力を超えない様に注意すれば良いのですが、
荷重中心がプレス中心から離れる場合(偏心荷重の場合)は、使用するプレスの持つ特性により加工荷重が
公称能力以下であっても総成形荷重に制限が出てきます。

 
 一般的には偏心荷重となる成形の方が多いと思われますが、その場合の成形荷重制限を表すものを偏心荷重線図といいます。


例 偏心荷重線図

偏心荷重線図の作成方法

 偏心荷重線図とは成形荷重制限を表すものと述べましたが、別の言い方をすると
”プレス機械がどれだけの偏心荷重に耐えられるか(許容偏心荷重能力)”を示すものでもあります。

 プレスの許容偏心荷重能力を左右する要素としては、次のことが挙げられます。

①    プレスの公称能力(ポイント能力)

荷重中心がどこにあっても(いかなる偏心荷重の場合でも)、
各ポイントに掛かる成形荷重は、ポイント能力を超えられません。

②    ポイントピッチ

プレスのスライドが受ける成形荷重をフレームに伝える部分で、
2ポイントあるいは4ポイントプレスの場合はその配置(ピッチ)が広い方が、耐偏心荷重能力が高くなります。
1ポイントプレスの場合は、基本的には偏心荷重を避けることが望ましいです。

③    スライド、ベッドのたわみ剛性

許容偏心荷重能力はたわみ剛性にも左右されます。

④    スライドガイドの耐久性

偏心荷重によりスライドは下降しながら傾きますが、
過度の傾きによるスライドガイドの焼き付きを避けなければなりません。
              

以上のことを考慮し、成形中にスライドガイドがどこまで傾いて良いか(どの程度の平行度を維持できれば良いか)を判断します。
金型や製品精度にも影響しますので、偏心荷重を避けて荷重バランスをできるだけ均等に配分することが大切です。


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