【新人の方に必見!】プレス能力の3要素とは? 圧力能力について
GWも終わり、皆さんの職場にも新人さんが配属されてきたのではないでしょうか?
そこで今回は、新人教育の際にも役立つ、
機械プレスを語る上で欠かせない「プレス能力の3要素」について3回に渡り、取り上げていきます。
プレス能力の3要素をお話しする前に
プレス機械は「液圧プレス」と「機械プレス」に大別され、加工目的に応じて選定されます。
機械プレスを選定する場合、その駆動機構の特性から、
下記のように定義される「プレス能力の3要素」を考慮する必要があります。
機械プレスには様々な種類がありますが、ここでは代表的なクランクプレスを例に説明していきます。
クランクプレスとは・・・
機械プレスの大部分が下図に示すようなクランク機構を用いており、
板材成形や鍛造成形等のほとんどすべてのプレス加工に使用されています。
例えば、“機械プレスを選定するとき” や “機械プレスでとある製品を加工する”とき、
圧力能力が、加工の際に必要な加圧力以上あれば加工ができる!と思ってしまいがちです。
しかし、残念ながらそうはいかないケースもあります。
そのようなケースを避けるためにも、「②トルク能力」が不足していないか?
さらに、「③仕事能力」が不足していないか?確認する必要があります。
さて、今回説明するのは「①圧力能力」です。
圧力能力はプレスが加工において、安全に発生できうる最大圧力(加圧力)を表した能力で、加圧能力、公称能力、呼び圧力とも呼ばれます。
なぜ、“安全に”発生できうる最大圧力とわざわざ言うのか・・・、気になりませんか?
圧力能力とは、出力可能な最大荷重ではなく、そのプレスが耐えることができる最大値を指すからです。
基本に立ち返りますが、
プレス機械とは下記のとおり定義されています。
上記にありますように、
加工時に発生した反力は外に放出せず、プレス機械自体が受け、支えることになります。
そのため、プレス機械が壊れない “安全に” 発生できうる最大圧力と表現しています。
例えば、圧力能力が3000kNのプレスを使用する場合
アイダではプレスを安全に末永くご使用いただくために、圧力能力の70%以下(=2100kN以下)で使用することを推奨しています。
というのも、実際の加工においては、
「加工材料の厚さのばらつき」「材料の硬度のばらつき」「金型の潤滑状態の変化」等によって、
想定を上回る荷重がプレスにかかることがあり、過負荷※が生じる恐れがあります。
ですので、圧力能力の70%以下で使用いただくことを推奨しています。
※プレス機には、過負荷安全装置が搭載されているため
変形・割れを予防することが可能です。
この圧力能力に関係する構造部品は、下記の図の緑色で示される作業荷重(圧力)のかかる
フレーム、ボルスター、スライド、コネクティングロッド、クランク軸(特にクランクピン部)などの部分です。
圧力能力をオーバーして使用すると、下図のプレスの緑の部分は変形・割れが発生する恐れがあります。
次回は、②トルク能力について取りあげていきたいと思います。
お楽しみに!