許容断続SPMってなに?
みなさん、”許容断続SPM"という言葉を聞いたことはありますか?
許容断続SPMとは、プレス機械が1分間に何回の断続運転を行うことが出来るかを示すものです。
断続運転とは、プレス起動後にスライドが1サイクル動いたのちに必ず設定点で停止し、
所定の停止時間が経過したのちに再び1サイクルだけ動くことを繰り返す運転を言います。
断続運転って、実際どういうときに使うの?
タンデムラインやロボットラインのように、材料の挿入や製品の搬送・取出のために
プレス(スライド)を一定時間停止させる必要がある場合に利用します。
トランスファープレスラインやプログレッシブ(順送)プレスラインの場合は、
連続運転による成形となるので許容断続SPMを仕様として表示しない(対応しない)場合が多いです。
許容断続SPMの表し方
例えば〈30min-1にて15回〉と表示します。
これはスライド速度(無負荷連続ストローク数)を30min-1に設定して、
1分間に15回だけ1サイクル運転が行えることを意味します。
下の図のとおり、
60/15=4秒毎の1サイクル運転となり、30min-1の1サイクルは2秒なので設定点で
2秒停止したのちに2秒かけて1サイクル運転を繰り返すことになります。
許容断続SPMの決め方
プレスの仕様(ストローク長さ、無負荷連続ストローク数、スライドモーション、スライド質量等)と
ブレーキ能力の組み合わせによりそのパフォーマンスは決まります。
特にブレーキ能力は、スライドを停止させるのに必要な吸収エネルギー(停止性能)能力と、
スライドを停止させることにより発生する熱を放出させる冷却(放熱)能力により許容断続SPMが決まります。
※ 発生した熱を1サイクル毎に確実に放出しないと、
徐々にブレーキが温度上昇して、停止性能の低下や発熱による不具合を発生させる恐れがあります。
一般的にはスライド速度を早くするほど停止時に発生する熱量が多くなるので、設定点での停止時間(冷却時間)は長くなり、
結果的に許容断続SPM(断続回数)は低下します。
ただし・・・
実作業においては、プレスとともに設置される周辺装置(ローダー、アンローダー等)のパフォーマンスにより
使用すべき適切な断続SPMが決まるので、必ずしも毎回許容断続SPM(能力の最大値)で使用される訳ではありません。
プレスを安全に使用するためにも重要なことがわかりますね。