ものづくり補助金が大幅拡充されました!                  拡充の具体的メリットは?①

2023年1月11日より、ものづくり補助金14次公募が開始しました(申請開始日:3月24日(金) /申請締切日:4月19日(水) 17時)。今回より、制度が大幅拡充されています!
中小企業庁で公募されているものづくり補助金は、革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善を支援する補助金であり、毎年多数の中小企業が申請しています。「高性能プレス機導入による生産性と品質の向上及び生産プロセスの改善事業」等、特に製造業の取組が採択されやすいのが特徴です。補助上限額750万~1250万円(従業員数によって異なる)、補助率1/2(小規模事業者は2/3)を受給できるため、プレス機等の大型設備の導入を検討している製造業の事業者に特におすすめです。そこで今回は、
・ものづくり補助金がどう拡充されるのか?
・1500万円のプレス機を購入時にどうやって使える?
について解説します!

☆ものづくり補助金はどう拡充された?

(1)補助額倍増!「グリーン枠」が3段階のコースに分かれる

 「通常枠」でなく「特別枠」で申請した場合、さらに大きな上限額・補助率で受給できる場合があります。その特別枠の1つである「グリーン枠」では、今後3段階のコースとして再編されました。

 「グリーン枠」は「革新的製品・サービス開発または生産プロセス改善」と「温室効果ガスの削減」を両立させる設備投資 を支援する特別枠です。事業例としては、「脱炭素化に資する新複合材に対応した金型部品製造の高度化」、「カーボンニュートラルに対応する新素材用の金型開発体制の構築」、「脱炭素社会に向けた発電設備等のアクリル銘板セル生産ラインの構築」 等が挙げられ、「脱炭素化」や「カーボンニュートラル」に資する設備投資であれば採択されやすいです。

前回の「13次公募」では、補助上限額2000万円、補助率2/3となっています。しかし今後は温室効果ガスの排出削減の取組度合いに応じて、3段階の補助上限額を設定されました。すなわち、「アドバンスコース(4000万円)」、「スタンダードコース(2000万円、現時点の要件と同じ)」、「エントリーコース(1250万円)」の3コースに分かれます。
この3コースは補助上限額だけでなく、「エントリーコースでは温室効果ガス排出削減の取組未実施でも可」、「アドバンスコースでは過去3年以内に省エネ診断を受ける」等、申請要件でも差別化もなされています。また、他の枠とは異なり、機械装置の撤去費用も対象経費に加えることができ、親取引企業からの要請を受けて取組を行う場合は審査の際の加点にするとのことです。

「エントリーコース」によって申請のハードルを低くして申請者を増やす一方、「アドバンスコース」で補助額を増額して脱炭素関連の設備投資を増やすことによって、政府の重点施策である「グリーン成長戦略」をさらに促進させるのが目的と考えられます。
特に省エネ性能が高いプレス機の導入 を検討している事業者、または「通常枠」以上の補助額を受給したい事業者は「グリーン枠」での申請を検討してみてください。
尚、「グリーン枠」では「機械装置単位」だけでなく「全社または事業所単位」で温室効果ガス排出を削減できている必要があります。省エネ性能が高いプレス機を導入することで、プレス機に係る温室効果ガスの排出量を削減できたとしても会社全体に係る排出量を削減できていなければ採択されない可能性が高いため注意が必要です。あくまで会社全体で温室効果ガスの排出を抑制できるような建付けにする必要があります。

(2)海外進出を支援!「グローバル市場開拓枠」の新設

第2の拡充として、「グローバル市場開拓枠」が新設されました。もともと「JAPANブランド事業」という海外での販路開拓を支援する補助金だったのですが、今後は「グローバル市場開拓枠」と言うものづくり補助金の特別枠として再編されます。
補助上限額は3000万円(補助率1/2、小規模事業者は2/3)であり、他の枠と異なり従業員数によって変化することはありません。「JAPANブランド事業」の時は補助上限額500万円(補助率2/3)であり、補助額が大幅に増額されたと言えます。
「グローバル市場開拓枠」では、「JAPANブランド事業」で対象だった海外展開やインバウンド対応に必要な販路開拓費(ブランディング、プロモーション等)だけでなく、海外事業またはインバウンド事業拡大のための設備投資費用も対象経費に加えることができます。事業の例としては「海外市場をターゲットにした新商品を開発するために、その商品を製造するためのプレス機導入を行う」等が考えられます。
海外現地での製品の製造や外国人向け製品の製造等を検討している事業者におすすめの特別枠となります。

(3)補助額が大幅アップ!賃上げによる上限額の上乗せ

第3の拡充として、賃上げを行った場合に上限額が上乗せされます。政府の重要施策である「構造的な賃上げ」を促進するために設けられたインセンティブとなります。
補助対象事業を終了してから3~5年以内に、事業場内最低賃金を年45円以上引上げた場合、最大1000万円が上限額に上乗せされるとのことです。つまり「通常枠」の場合、補助上限額750万~1250万円が1750万~2250万円に増額されることになります。
尚、そもそも賃上げが必須要件となっている「回復型賃上げ・雇用拡大枠」は対象外となります。
人件費が増額されることがネックですが、もともと従業員の賃上げを検討しているのであれば、そのタイミングに合わせてものづくり補助金を申請してみてもよいかもしれません。

(4)事務局指定の設備導入で最大2000万円!「認定機器・システム導入型」を新設

第4の拡充として、「認定機器・システム導入型」という類型が新設されます。(現在公募中の14次ではなく、次年度以降の予算から実施予定です。)こちらは事務局が認定した「生産性向上に資する機械装置・システム」 を中小企業が導入した場合に、最大2000万円、補助率1/2(小規模事業者は2/3)が補助されます。
どのような設備が「生産性向上に資する機械装置・システム」 と認定されるのかまだ明らかになっていませんが、「ICTプレス機によるDX化、生産性・安全性の向上、雇用の促進」や「鋼材切断の機械化による作業効率アップと生産性向上、新規受注の獲得へ」 などのような設備が想定されています。
事務局指定のITツール導入を支援する「IT導入補助金」と同じ建付けであり、認定を受けた機械装置・システムを扱うメーカーからの申請支援を受けられると想定されます。また、この類型で申請した場合、優先的に採択するとのことです。
導入したい設備を自由に選べないのがネックですが、認定を受けた機械装置・システムは「業種・業態に共通する生産性向上に係る課題を解決するもの」という建付けのため、多くの企業の需要を満たせる設備になると考えられます。

【変更点まとめ】


申請スケジュール等の最新情報は公式サイトにて随時更新されますので、実際の申請時には必ずご確認ください!
https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html

次回は具体的に、拡充されたものづくり補助金を使って、実際プレス購入する際のイメージをお伝えします。
お楽しみに!

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