プレス機導入に係る税額が控除される!経営力向上計画とは?

「経営力向上計画」とは、中小企業の経営基盤を強化させ、生産性向上につながる取り組みを
促進するための事業計画です。
この計画が認定された事業者に対して、税制面、金融面、法律面でさまざまな支援をしています。
特に税制面では、設備投資を行った場合に即時償却や税額控除ができるようになります。

例えば1500万円のプレス機を導入した場合、どれくらいお得になるのでしょうか?

即時償却または10%の税額控除が可能になる!

計画に記載した機械装置等を導入した場合、即時償却または取得価額の10%(資本金3000万円~1億円の法人は7%)の税額控除のいずれかを選択できます。
たとえば経営力向上計画に基づき、1500万円のプレス機を購入するとします。

即時償却と税額控除を選んだ場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?

即時償却はキャッシュフローが改善される!

通常、大型設備は既定の耐用年数に基づき毎年一定額を計上していく減価償却を行います。
プレス機の耐用年数を10年とすると、毎年150万円ずつ経費として計上することになります。

しかし即時償却の場合、事業初年度に一括計上できます。
つまりプレス機を導入した年度に1500万円を一括計上できることになります。
即時償却を行えば、その分利益が下がるため、法人税の課税所得を低く抑えられ、キャッシュフローも良くなります。

税額控除は納税額が少なくなる!

取得価額の10%の法人税が税額控除されるため、
1500万円のプレス機の場合、150万円の法人税が減額されることになります。
即時償却が長期的に見れば納税額が変わらないのに対し、税額控除は純粋に納税額が少なくなります。
なお、即時償却も税額控除も利益が大きい年度に効果を発揮するため、
その年度を狙って経営力向上計画の認定を目指すことをおすすめ
します。


即時償却と税額控除のメリット

対象者は中小企業のみ

経営力向上計画の即時償却や税額控除は以下の要件を満たす中小企業のみが対象となります。

 ・ 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
 ・ 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
 ・ 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
 ・ 協同組合等

なお、要件を満たしていても、株の大半を大企業が保有していたり、
前3事業年度の平均所得金額が15億円を超えていたりすると中小企業とはみなされません。

プレス機は単価160万円以上が必須

経営力向上計画の税制優遇では、機械装置(160万円以上)、ソフトウェア(70万円以上)、
器具備品・工具(30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)が対象とされています。
プレス機の場合は「機械装置」に該当するため、単価160万円以上の製品が対象となります。
 
また、対象設備は以下A~D類型のいずれかに該当させる必要があります。

たとえばプレス機をA類型にあてはめる場合、そのプレス機が旧モデルより生産性を向上できることについて、
工業会から証明書を発行してもらう必要があります。
◆アイダエンジニアリング証明書発行対象機の一覧はこちら。


他にもお得な優遇がたくさんある!

経営力向上計画では税額控除・即時償却以外にも多くの優遇措置があります。

 (1)会社の合併・分割、事業承継をした場合、
    不動産の権利移転に関わる登録免許税や不動産取得税が軽減されます。

 (2)公的機関による低利融資、スタンドバイ・クレジット、債務保証等、金融面の支援を受けられます。

 (3)事業譲渡の際に必要な許認可の再取得や債権者の同意等の煩雑な手続きを簡素化できます。

経営力向上計画を申請するためのステップ

(1)どの優遇措置を受けたいか、決めておく

   経営力向上計画を認定されると、税制措置や金融支援等さまざまな優遇措置を受けられますが、
   それぞれ対象事業者の要件や申請方法が異なっています。

   申請前に各優遇措置の要件や手続きを確認しましょう。

(2)自社の事業分野を確認する

   中小企業庁のHPにある「事業分野別指針」を確認し、
   自社の事業分野がどのような経営力向上を求められているのかを把握します。

(3)申請書を作成する

   事業分野別指針を参考にして申請書を作成します。申請書は中小企業庁のHPからダウンロードできます。

   自社だけで申請書を作成するのが難しい方は経営革新等支援機関を活用しましょう。
   中小企業などによる経営力向上計画の策定をサポートするため、公式に認定された機関です。
   商工会議所や商工会、金融機関、中小企業診断士などの士業が担当しています。
   また、経済産業省のHPにあるローカルベンチマークという経営診断ツールを利用することも推奨されています。

(4)経営力向上計画の申請・認定・開始

   自社事業の事業分野を主管する主務大臣に計画申請書を提出します。
   提出先は、各地域の官庁の支局(厚生局・運輸局など)です。
   事業分野が複数省庁にまたがる場合は、いずれか1つに提出します。

   申請から認定まで30~45日かかり、認定されると計画認定書と計画申請書の写しが交付されます。
   そして、支援を受けながら経営力向上のための取り組みを実行できます。


申請までのステップ

経営力向上計画の最大のメリットとは?

経営力向上計画の最大のメリットは経営力向上計画の策定を通して、
「わが社の経営課題は何か?」「どうすれば生産性が向上するのか?」といった現状把握・分析ができることです。
経営力向上計画に記載することは、本来経営者として把握しなければならないことしかありません。

経営力向上計画は優遇を受けるために策定するのではなく、自社の経営状況を正確に把握し、
有効な施策を打ち出すために策定するという認識をもつことが大切といえます。

さいごに

経営力向上計画を活用し、ぜひお得にプレス機の購入をご検討ください。
※上記内容は一部省略しており、また法令が見直しされる可能性もありますので、申請時には必ず公式ホームページより最新の公募要領をご確認ください。

参考

■ 経営力向上計画の申請について
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/ninteisinsei.html?msclkid=0d629bbccf3d11eca6767db154e4d2e4

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